信用取引
長期投資家の必要条件、
それは市場に留まり続けること
あらためて言うまでもなく、信用取引は両刃の剣です。
使い方を間違えると一発でアウトになりかねません。
まず信用取引のメリットですが、
1. 持ち金以上の株を保有できる
2. つなぎ売りができる
3. 空売りができる
の3つがあげられます。
1はレバレッジ効果を生み出すためには不可欠なものです。
銘柄分析によって、
200円の価値のある株が100円で売られていることに気が付いたとします。
このとき自己資金が100万円だとして、信用取引を行わないとすれば、
期待通りに値上がりしたとして、100万円しか儲かりません。
しかし信用取引で300万円分買っておけば、
300万円が600万円になるので、300万円の儲けになります。
つまり信用取引を行わない場合、100万が200万なのに対し、
信用取引を行った場合には、100万が400万になるのです。
これがレバレッジ効果、てこの原理と言われるものです。
市場が順調に推移しているときには、これは非常に強力な武器になります。
信用枠を使わないで年率10%増える人は、
2倍のレバレッジを効かせることで20%のリターンを得ることができるのです。
二つ目のメリットはつなぎ売りが出来ること。
税金のページに書いた通り、税金を払うのが遅いに越したことはありません。
その企業の本質に関係のない材料で
一時的に株価が軟調になるのはよくあることですが、
そこで売ってしまったのでは税金が発生します。
そんなときに信用売りを入れて値下がりをヘッジするのは時として有効な戦略です。
三つ目のメリットは空売りが出来ること。
バブル後の失われた十年のように、相場全体が長期間下げつづけることもあります。
そのような時期でも割安成長株を見つけることは可能ですが、
場合によっては割高な銘柄を探して空売りする方が儲かることもあるでしょう。
このようにメリットも多い信用取引ですが、
もちろんそれに見合ったデメリットがあります。
まず忘れてはいけない事は、信用取引は借金であり、
そこには利子が発生するということです。
期待するリターンから金利を引いて、十分な利益が見込めないのであれば、
信用で買うべきではありません。
それから、何といっても最大のデメリットは追証です。
思わぬ下落によって追証が発生してしまった場合、
かなりの確率で市場からの退場を余儀なくされてしまいます。
最悪のケースでは、自己資金を失うだけでなく、
借金が出来てしまう事も考えられます。
このような借金は自己破産によっても免責されない場合があるため、
その後の人生を大きく狂わすことにもなりかねません。
信用取引の保証金維持率をどの程度に設定するのかは、
もちろんその人のリスク許容度によるのですが、
少なくとも人生を狂わす程のリスクをとるべきではありません。
保有銘柄のひとつが今日倒産してしまっても追証にならないように管理すべきです。
投資家が市場からの退場を余儀なくされる原因の多くは追証にあります。
長期投資で成功しようと思うのであれば、追証だけは避けたいものです。
逆に言えば、余裕資金で投資を行い、適度に銘柄を分散し、
そして信用取引を使わなければ、市場に留まり続けることが出来ます。
くれぐれも追証の危機に直面しないようなリスク管理を心掛けましょう。