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10月は株に手を出すには危険な月だ。

これ以外に危険な月は、7月、1月、9月、
4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月である。

アメリカの作家マーク・トウェインの名言です。もちろんこれは、株を買うのはリスクが高いということを、ユーモアを込めて言った言葉ですが、実際のところはどうなのでしょうか?月によって、あるいは季節によって、株式市場が危険であったりそうでなかったりするのでしょうか?

例えば夏枯れ相場という言葉があります。夏場、特にお盆の前後は、みんなが夏休みをとるので出来高が減少し、株価が低迷するという現象です。果たしてこれは本当でしょうか?もしも明らかにこういう現象があるのであれば、夏が来る前に空売りしておいて、秋になる頃に買い戻せば簡単に儲かるということになってしまいます。そんなうまい話はありそうに思えません。

そこでここでは、1991年から2003年の日経平均株価の月足について検証します。下の図は、その期間中の日足チャートです。

まず、各月の最後の日の終値を下の表に示します。赤く色がついているのは、その年の中で高値をつけた月、青いのは安値をつけた月です。当然のことですが、それほど明らかな傾向を見ることは出来ません。強いて言えば、9-11月は高値をつけたことがなく、安値は4回つけているため、この期間は安いということです。逆に3-5月は高値4回に対し安値は1回で、やや高いのかもしれません。全体的に見ると、前半は高く、後半は安いと言えなくもありません。

   1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
1991 23293 26409 26292 26111 25790 23291 24121 22336 23916 25222 22687 22984
92 22023 21339 19346 17391 18348 15952 15910 18061 17399 16767 17684 16925
93 17024 16953 18591 20919 20552 19590 20380 21027 20106 19703 16407 17417
94 20229 19997 19112 19725 20974 20644 20449 20629 19564 19990 19076 19723
95 18650 17053 16140 16807 15437 14517 16678 18117 17913 17655 18744 19868
96 20813 20125 21407 22041 21956 22531 20693 20167 21556 20467 21020 19361
97 18330 18557 18003 19151 20069 20605 20331 18229 17888 16459 16636 15259
98 16628 16832 16527 15641 15671 15830 16379 14108 13406 13565 14884 13842
99 14499 14368 15837 16702 16112 17530 17862 17437 17605 17942 18558 18934
2000 19540 19960 20337 17974 16332 17411 15727 16861 15747 14540 14649 13786
01 13844 12884 13000 13934 13262 12969 11861 10714 9775 10366 10697 10543
02 9998 10588 11025 11493 11764 10622 9878 9619 9383 8640 9216 8579
03 8340 8363 7973 7831 8425 9083 9563 10344 10219 10560 10101 10677

下の表はこれをグラフにしたものです。各年の1月の終値を100として指数化しています。毎年30%程度のレンジで上がったり、下がったりしています。ただ、この期間の株価はほぼずっと下落傾向であったため、上がった年よりも、下がった年の方が多くなっています。一番上がったのは、99年で30%強、次は03年で30%弱ですが、その他の年については、横ばいか下落となっています。一番下がっているのは00年で、-30%程度です。

問題は、季節によって何か特徴的な動きがあるかどうかですが、ここでもやはり明確な傾向は見られません。上の表で見たような傾向があるといえばあるという程度です。

次に、それぞれの月で何%株価が動いたのかを計算しました。以下にその結果を示します。下のグラフは、各月の終値が前の月の終値に対してどれだけ変動したのかを示したもので、縦軸は%表示になっています。ここでもそれ程特徴的な動きを見ることは出来ません。

強いてあげれば9月、10月は変動が小さいということです。標準偏差を計算すると、確かにこの2つの月が最も小さい値を示します。逆に標準偏差が大きいのは8月と11月です。8月は夏枯れ相場で、取引量が少ないため変動が大きく、9月、10月はその反動で動きが小さい、そして11月は年末に向けてまた動きが大きくなる、というような解釈が出来ないわけではないですが、多分誤差の範囲内の現象ではないかと思います。

もうひとつ気がつくのは、11月の前後でクロスしている線が多いということです。つまり、10月に下げた年は11月に上がって12月に下がる、逆に10月に上がった年は11月に下がり12月に上がることが多い、ということです。特に合理的な説明付けは思いつきませんが、何か意味があるのでしょうか?この傾向は8月の前後についても見られます。

次のグラフは、上で求めた変動率を月ごとに平均したものです。縦軸は同じく%表示となっています。赤い線は各月について標準偏差を計算し、平均値を中心に線を書いたものです。平均変動率が最も高いのは4月、最も低いのは9月となりました。4月は年度始め、9月は前期の終わりですが、特に関係ないでしょう。マーク・トウェインの言うようにどの月も危険です。

前述のように9月、10月は偏差が比較的小さいです。8月は逆に偏差が大きいため、その間には結構大きな差が生まれています。夏枯れ相場で8月は取引量が比較的少なくなると言われています。調べた事がないのではっきりとしたことは言えませんが、おそらく商いが薄くなると偏差は大きくなる傾向があります。そのため8月は偏差が大きく、夏休みが終わった9月には偏差が小さくなるということでしょう。ただし、偏差の大小と株価の上下の間には明確な相関というのはないものと思われます。したがって、あらかじめ偏差の大小が予測できたとしても、普通の株式投資を行うには、それほど影響はないものと思います。ただし、オプションなどを考えた場合には何かうまい戦略があるものと思われます。

まとめです。ここでは、日経平均株価の月足データをもとに考察を行いました。結論としては、特に目立った特長はない、というところです。気になる点としては、9月、10月は偏差が小さく、逆に8月は偏差が大きくなるということです。 


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