損切り
世の中の投資本では、損切りが一番大事、みたいな言われ方をすることが多いですが、私はそれほど重要なことでもないと思います。
ここでは損切りに対する考え方について紹介します。
なぜ損切りの重要性が必要以上に語られるのかといえば、
それは人間の性質上、実行するのが難しいからです。
そして、損切りが遅れたときのダメージが深刻なものになりやすいからです。
しかしこれは、適当に銘柄を選んで、適当な値段で買ったときの話。
買いを入れる段階でしっかりとした分析を行っているのであれば、
損切りすべき時というのは非常にはっきりしています。
基本的には損切りをしなければいけない状況というのは、
自らの予想に反して会社の経営方針が悪い方向へ変わってしまったときだけです。
買いを入れる段階で、今後数年間にどの程度の成長が見込まれ、
毎年どの程度の利益が出るのか、という事は分析しているはずです。
なんらかの事情によってその思惑が外れ、
予定する利益が得られないことがわかった時点で売ればいいのです。
このように売る条件がはっきりとしているのであれば、
損切りというのは別に難しいことではありません。
条件を満たしてしまったかどうかを冷静に分析し、
ダメだという結論が得られたら淡々と売ればいいだけのことです。
もちろん予測が外れた原因についてはしっかりと考えて、
反省する必要がありますが、
必要以上に損切りしたことを悔しがったりすることはありません。
常に冷静な判断を下すことが、長期間市場で生き残るための絶対条件です。
以上のように、
基本的には株価が下がったという理由で損切りする必要はありません。
ただし、信用取引を行っている場合には話が違ってきます。
つまり、株価が下がったことによって、
追加証拠金が必要になる場合があるわけです。
理想を言えば、そのような状況に陥らない程度のレバレッジで
ポジションをとるのがいいのでしょうが、
大きな利益を狙っている場合にはそういうわけにもいきません。
この場合に限っては、
株価が下がったという理由だけで損切りをする必要があります。
心理的な面での補足をすれば、
これはリスクコントロールに問題があったのであって、
その銘柄を選んだことにはまったく問題はありません。
つまり、それが原因でその銘柄を嫌いになったりすることがあってはいけません。
人間の心はそれ程単純には出来ておらず、
ついつい銘柄のせいにしてしまいがちです。
原因の切り分けには十分注意しましょう。